指輪が欲しいんだ。

600円くらいので良いから。

君からじゃないと、意味無いよ。

ねぇ・・・。

聞こえてる？

あたしね、君に会って変わったんだよ？

素直になったんだよ。

感情を表に出せれるようになったよ。

全部、君のおかげだよ。

寝てないで・・・起きてよ・・・。

最後に会ったのはいつだったかなぁ・・・。

・・・思い出したよ、あの雨の日。

あの日からあたしは君に会えなくなっちゃった。

君はここに居るのに。

・・・会えなくなっちゃったんだよ・・・。

触れたいのに、触れられないよ・・・。

抱きしめたいのに、透けちゃうよ・・・。

愛したいのに、愛してあげられなくなっちゃったよ・・・。

・・・あたしは・・・もぅ・・・。

・・・・・・君を愛せない・・・・・・・。

狭い路地裏で、座り込む少年に

パンをあげよう。

誰もが卑しそうに見る少年に。

君はパンをあげられるかい・・・？

でも考えてごらんよ。

例えば、この少年が王子だと知ったら・・・？

君はどれだけのパンを恵むかな・・・。

身分とか、種族とか、関係無しに

パンを与えてよ。

見返りなど、求めないで。

そして、言ってあげて。

「君は生きていなきゃいけない」って・・・。

少しの間だけでも、長く生きられるように。

例え、それが嘘であっても・・・。

言って。そして、パンを与えて。

大好きだったあなたに、手紙を書こうと思った。

あたしはあなたが好きでした。

でも、あたしが好きだったあなたはもう居ないよ。

変わっちゃったんだ。

人は進化に進化を遂げ、今に至る。

変わらぬことなどあり得なくて、

それでも、変わらないで居て欲しいと思った。

ずっとこのまま、時が止まってしまえば、と。

でも、そんなの良くないよね。

あなたの気持ちが分からないままじゃない？

そんなの、嫌だから。

大好きだったあなたは、今、自分の道を歩き始めてる。

そして、あたしも。

大好きだったあなたへ。

あなたに出会えて良かった。

心からそう思う。

この気持ちを、将来あなたの事を好きになった人にも

そう思えるように。

もう会いません。会えません。

あなたのことを諦められるまで。

会えないことは寂しい。

でも、悲しくない。

きっと、これも運命だから。

大好きだったあなたへ送る、

最初で最後の手紙。

後ろを向いて。

後悔したことはないかい？

君は本当にそれで良かったのかい？

今更、過去は変えられないけれど

悔いはないのかい？

後ろを向いて。

自分の歩いた足跡を見てごらんよ。

君はそんなので満足するのかい？

今更、過去は変えられないけれど

未来を変えることは出来るよ。

そのために足跡があるんだから。

過去の過ちを二度と繰り返さぬよう。

ほら、ちゃんと見て。

君が一生懸命歩んできた、その足跡を。

何故あなたは死んでしまったの？

誰もが臨まない死を、あなたは選んだの。

この世に生きることを拒み、

あの世で生きることを受け入れて。

あなたはそれで良いでしょう、楽になるでしょう。

何からも縛られることなく、生きるわけでもないのだから。

・・・本当にそれで良かったの・・・？

生きる上で辛いこと、悲しいこと、嫌なことはたくさんある。

でも、それこそが醍醐味じゃないの？

生きる苦しさを、生きる悲しさを。

身をもってして感じることが出来る。

それが、人間じゃないの？

だから、もぅちょっと・・・

生きてて欲しかったよ。

好きだった・・・。

どうして死んだの・・・？

会いたいよ。悲しいよ。

苦しいよ。抱きたいよ。

まだ、信じたくない。

最後に君を見たのは別れたとき。

お互いに見つめ合ってた。

見慣れた君の仕草。

でも顔には血が流れていたね。

あたしの眼にも血が。

でも誓っていえる。

君が感じた魂の痛みは、

あたしも同じだと。

その痛みは

心の底を貫く痛み。

それが゛愛?

愛の起源の物語。

こうして、゛愛?は生まれた。

　　By「ヘドウィグ　アンド　アングリーインチ」より